成年後見制度には、「法定後見」「任意後見」の2種類があります。

 

 いずれを利用するかは、ご本人が成年後見制度を利用してやりたいことや、ご本人の状況によって選択することになります。(両方併用することはできません)

 

 成年後見制度は、本人の暮らしを守り、本人の財産を守るという点において有用ですが、一方において、財産の処分権限を本人から奪う面もあることに注意が必要です。

 成年後見の申立てをする目的をよく考えたうえで利用するよう、慎重に検討する必要があります。

 


制度比較
法定後見と任意後見

法定後見

 法定後見制度には、ご本人の状態に応じて3つの類型があります。援助の必要性が大きい順に「後見」「保佐」「補助」となります。

 これらの類型は家庭裁判所への申立時に選択することになりますが、ご本人の権利擁護の観点から、慎重に決定することが大切です。後見類型であれば、全面的に後見人に権限が委譲されることになるため、周囲から見れば安心に思えますが、一方で本人の残存能力を一方的に奪う側面があることを念頭に置く必要があります。

 なお、家庭裁判所の判断により、申立時に選択した類型とは別の類型に該当する、とされる場合もあります。

 

メリット

 法定後見制度を利用するメリットとして「取消権がある」という点があります。

 例えば、ご本人が判断能力の衰えにより訪問販売等の被害にあわれている場合、その契約を取消す権限が「取消権」です。この権限は任意後見人にはありません。

 

 また、「当初から裁判所による関与がある」ことにより、後見人による不正を未然に防止することが期待できます。後見人には家庭裁判所に対する財産管理状況等の報告義務が課せられるためです。

 

デメリット(注意点)

 法定後見の申立てに際しては、後見人候補者を予め記載することになりますが、必ずしもこの候補者が選任されるとは限らないことに注意が必要です。親族を候補者としていても、家庭裁判所が「後見人としてふさわしくない」と判断すれば、第三者後見人(各種専門職)が選任されることも十分にあり得ます。

 

 また、後見人は原則的に本人の財産を守る存在であるため、例えば本人名義の土地を売却する等の目的で後見人を選任する場合、家庭裁判所の許可を受けられない可能性があります。

 


任意後見

 任意後見制度は、ご本人の意思がはっきりしている段階で、ご本人と任意後見受任者との間の契約により後見事務を行うものです。契約の発効時期によって、3類型がありますが「将来型」と呼ばれる類型が推奨されます。

 

メリット

 任意後見の最大のメリットは、やはりご本人の意思を最大限に尊重できる点にあります。任意後見契約書に、ご本人の判断能力が衰えた際のご本人の暮らし方や財産管理方法等を細かく指定することにより、その定めに従って任意後見人が後見事務を行うことになります。

 本人の意思を尊重する観点から、任意後見契約は法定後見に優先します。

 

デメリット(注意点)

 任意後見契約を締結するにあたり、ご本人の契約締結能力があることが大前提になります。後見事務の内容は詳細に定められるため、その内容を理解できない状況にある場合は、この制度を利用できないことになります。

 

 また、任意後見契約の発効時期は「ご本人の判断能力が衰えてきた時」ですが、この判断が難しいことも挙げられます。ご本人が「まだ大丈夫」と言っていても、周囲から見れば明らかに判断能力が低下しているような状況も考えられるためです。

 


・後見申立

 後見人の選任をお考えの親族の方や各施設等の関係者の方々からお話を伺いながら、家庭裁判所に対する後見申立書類の作成、必要書類の収集等を行います。

 

・後見人(候補者)就任、後見監督人就任

 後見人となれる親族がいない場合等は、後見人候補者として当職が就任させていただきます。(ただし、後見人の選任権限は家庭裁判所にあるため、必ず就任できるとは限りません。)

 

(・任意後見の場合)

 任意後見契約と併せて、契約発効までの「見守り契約」や、お亡くなりになった後の「死後事務委任契約」の締結も、当職が携わらせていただきます。

 

・その他

 必要に応じ、ライフプランの作成や尊厳死宣言の公正証書の作成のお手伝いもさせていただきます。


報酬・手数料

報酬の目安

・成年後見申立           : 95,000円~

・居住用不動産売却許可申立     : 45,000円~

・成年後見人就任                                 : 家庭裁判所が定める

 

・任意後見契約締結         : 90,000円~

・任意後見監督人選任申立      : 50,000円~

・任意後見人就任          : 25,000円/月 ~

 

 

実費の目安

・成年後見申立           : 約10,000円(印紙代、切手等)

・任意後見契約公正証書作成  :  15,000円~ ※枚数により250円毎加算