遺言書の作成
遺言書の作成

 若い方にとっては「まだまだ先の話」と思われる遺言。ともすると、ご高齢であっても、まだまだ元気な方にとっては、いつまでも「まだまだ先の話」なのかもしれません。

 

 しかし、遺言書の作成には、遺言の内容をただしく理解できる能力が必要とされるため、高齢者の4人に1人が認知症になると言われる現代においては、元気な今だからこそやっておかなければならないことと言えます。

 

 自分が亡くなった時のことを考えるわけですから、遺言書を書くことにマイナスの印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、遺言書というのは、自分亡き後の財産の行先を指示するものであり、前向きなものと捉えることができます。(遺書のように亡くなる直前の思いを書きつづるものではありません。)

 

 自分が亡くなった後に、自分の愛する家族たちが自分のことでもめる、というのは誰しも考えたくありませんが、「相続=争族」と言われるように「うちにかぎって」がおこるのが相続というものです。

 

 また、「うちには相続させるようなものはない」とおっしゃるような、比較的少額の財産をめぐる相続争いが多いのも現実です。

 

 自分亡きあとの財産の行先の指示書(=遺言書)を作成し、ご自身の意思を家族に伝えてみてはいかがでしょうか。


遺言書の作成方式
公正証書遺言と自筆証書遺言の比較

遺言書の作成方式は、民法にいくつかの定めがあります。

通常は「公正証書遺言」か「自筆証書遺言」で検討することが一般的です。

 

 

1.確実性

 遺言の内容を確実に実現するためには、公正証書遺言の方が優れています。

 遺言書作成時に公証人が関与することになるため、作成時点での遺言者の判断能力があったことを担保できるためです。(反対に自筆証書遺言の場合は、相続人間に争いがある場合、遺言書の作成能力はなかったとして争いを起こされる恐れがあります。)

 また、遺言書は公証役場に保管されるため、紛失の恐れもありません。

 加えて相続人が遺言書の存在を知らなくても、「遺言書があるかもしれない」と思えば、公証役場でその有無を検索することができます。(遺言者が亡くなった後に限ります。)

 

2.検認手続

 公正証書遺言によった場合、検認手続は必要ありません。

 一方、自筆証書遺言の場合、遺言者が亡くなった後、相続人は家庭裁判所に検認手続きの請求をしなければなりません。未開封の遺言書はこの検認手続のなかで、相続人立会いのもと開封されることになります。

 手続きは以下のように、相続人に手間をかけることになります。

  • 一定の期間を要すること
  • 原則として相続人全員の立会いが必要なこと
  • 相続人全員の戸籍謄本を収集する必要があること
  • 手続き費用がかかること

 

3.秘密

 秘密という点では、公正証書遺言の方が比較的守られます。1.で示した公正証書遺言の有無の検索は、遺言者が亡くなった後でなければできないため、生前にその内容が相続人に知られることはありません。(ただし、遺言書作成時に交付される「写し」を見られればそれまでですが。)

 なお、公正証書遺言には、遺言の内容に利害関係がない2人の証人の立会いを必要としますので、その証人には、遺言内容が明らかにされることには注意が必要です。

 一方、自筆証書遺言は、よほど厳重に管理しない限り、生前に相続人に見られてしまう恐れがあります。

 

4.費用

 公正証書遺言は、公証人手数料や証人への報酬、戸籍謄本等の収集にかかる費用など、自筆証書遺言に比べて費用がかかることになります。  一方の自筆証書遺言であれば、紙とペンがあればそれ以外に必要な費用はかかりません。

 ただし2.で示した検認手続にかかる費用は発生します。

 

5.作成の手間

 公正証書遺言の場合、原則的にはお近くの公証役場に出向いて遺言書を作成することになります。ただし、施設等に入居されていて外出が難しい等の理由があれば、公証人が出張することもあります。(出張費用は別途かかります。)

 一方の自筆証書遺言では、民法上「全文自書によらなければならない」とされているうえ、記載誤りの修正方法についても厳格に定められているため、かなりの労力を要することになります。(※ 財産目録については自署でなくとも認められることになりました。ただし署名捺印は必要。)


ご支援内容

・遺言書の作成

  上記のとおり、遺言内容を確実に実現するためにも、公正証書遺言によることをお勧めしています。

 

・公証人との打ち合わせ

 公正証書遺言の本文は、公証人が作成する様式となります。その記載内容は、当職が遺言者の意思・要望を聞き取りつつ、公証人と打ち合わせをしながら「遺言書(案)」として作成いたします。

 

・証人の手配

 公正証書遺言の作成にあたっては、別に証人2名の立会いが必要になります。この証人については、遺言者との利害関係がない方である必要があります。

 遺言書作成に携わった者として、当職が証人の1名となりますが、残りの1名については、ご依頼者様が探されてもかまいません。もしお心当たりがなければ、こちらで2人目の証人を手配させていただきます。

 

 ・遺言執行者への就任

 遺言内容が遺言の執行を必要とする場合、遺言の内容を確実に実現するため、当職が遺言執行者として携わらせていただきます。

 


報酬

報酬の目安 ※相続財産総額、遺言内容の複雑性により変動

 

・遺言書の文案作成     45,000円~

・公正証書遺言の証人 15,000円~

 

 

実費の目安 ※相続させる財産により段階的に決まります

 

・公証人手数料

 例.妻に4,000万円、子に2,000万円の遺言の場合
  妻     : 29,000円
  子     : 23,000円
  遺言加算 : 11,000円
  祭祀主催者指定するなら : 11,000円