相談

 日常生活を営む上で、意識しようと意識しまいと、避けては通れない法律の問題。

 

 いざ市役所、税務署、裁判所、公証役場等々、各種の公的機関に対して何らかの届出・申請をしようとしたとき

 「いったいどの専門家に頼めば良いの?」

 という疑問は、意外に難しい問題をはらんでいます。

 

 

この手続きは弁護士?司法書士?行政書士?税理士?

 

 「裁判をするなら弁護士!」「確定申告なら税理士!」など、おおよそのイメージはあると思いますが、各士業それぞれに 明確にできる/できない業務に加え、定義が曖昧な業務が問題となることがあります。

(一般の方にとってはどうでも良いことですが、「業際問題」と呼ばれ、各士業の業務範囲を定める各法律や判例により解釈が分かれており、各士業の縄張り争いの様相があります。)

 

 

参考までに、私ならココに依頼する

 

 そこで、どの士業に、どんな業務を依頼できるのか、ご依頼者の視点で以下簡単にまとめます。

  • 相続登記の申請 (不動産登記・商業登記)  

     実質的に、登記申請代理ができるのは司法書士のみです。判例により弁護士にも権限が認められていますが、実際に登記申請を業としている弁護士の方は少ないと思われます。

     

  • 遺言書の作成

      有効な遺言書の作成方法や、相続関係、遺留分の確認等の法律的な支援を求めるのであれば、司法書士・弁護士です。ただし、専門家報酬のことを考えると比較的司法書士に依頼する方が低額になると思われます。

      一方、遺産が多額になるなど、相続税の納付義務が発生するようなケースでは、相続税対策のために税理士に依頼することも考えるべきだと思います。具体例を挙げると、相続人が3人のケースであれば、遺産総額が基礎控除額の4,800万円を超えるような場合が考えられます。

         

  • 成年後見の申立て、成年後見人就任  

     成年後見人等(後見・保佐・補助)の就任実績からみて、司法書士が良いと思います。家庭裁判所が選任する成年後見人等のうち、親族以外の者(「第三者後見人・専門職後見人」といいます)は、司法書士: 39.3%、弁護士:31.4%、社会福祉士:15.3%となっています。(データ出典:最高裁判所事務総局家庭局)

     また、司法書士においては「公益社団法人成年後見制度支援センター・リーガルサポート」という組織のもと、家庭裁判所よりもさらに厳しい報告義務、チェック体制での運用、会員への継続的な研修受講義務を課しており、信頼性が担保されていることも検討に値すると思います。   

     

  • 裁判

      費用のことを考慮しなければ、弁護士が良いと思います。司法書士については、簡易裁判所における民事事件(具体的には訴額140万円以下の訴訟)のみ訴訟代理人として関わることができます。そのため、家庭裁判所における離婚事件や、地方裁判所等での刑事事件等では裁判書類の作成を通じ、本人訴訟の支援という形をとることになります。140万円以下の訴訟であれば、報酬の面では司法書士の方が低額に抑えられると思います。   

     

  • 許認可の届出  

     行政書士の 専門分野です。不動産登記との関係では、農地法の転用許可等の代理申請においては、行政書士が行うこととなります。その場合でも不動産登記手続きは司法書士が行うことになりますので、司法書士・行政書士の両資格を有している事務所か、お互いの資格者が連携している事務所への依頼をお勧めします。   

     

  • 税務申告  

     税理士の専門分野です。ただし、判例により弁護士についても、税理士登録をすることで税理士業務を行うことが可能です。   

  ◎○△×の標記は、「業務を扱うことができる/できない」、「業務に強い/弱い」ということを単純に表現するものではなく、あくまで、依頼に際して検討に資するイメージとして記載しています。

 例えば、税理士は行政書士登録をすれば、行政書士業務を行うことができますし、弁護士は税理士登録をすれば、税理士業務を行うことができますので、厳密には職域はもう少し広い場合もあります。

 

 

 どの専門家に依頼するにせよ、最終的にはその専門家との相性が大事になってくると思います。

また、同じ業種に依頼するにしても、事務所ごとに取り扱う業務、力を入れている業務は異なる場合もありますので、ホームページ等で確認するか、実際に問い合わせてみる等して、確認することをお勧めします。